現在、大問題となっている「小林製薬」の紅麹サプリメントの健康被害。
亡くなられた方も出てきており、痛ましいニュースに不安を感じます。
この「紅麹」問題ですが、愛猫家、愛犬家に不安をもたらす騒動にまで発展してきているのです。
話題にあがっているのが、「いなばペットフード」が販売している「CIAOちゅーる」シリーズ。
以下、「紅麹」と「ちゅ〜る」の関係について、詳しく見ていきましょう。
「紅麹」と「ちゅ〜る」、何が問題だったのか
ことの始まりの問題点は、以下の2つ。
- 紅麹サプリを取り入れていた人が、「腎臓の病気」を疑われる症状があった
- 「CIAOちゅ〜る」シリーズに「紅麹色素」が含まれているものがある
私もネット上で愛猫家の人たちの不安なコメントを目にしたときは、血の気が引きました・・・。
一部の愛猫家は「いなば」に問い合わせし、回答を情報共有されています。
そのやりとりを要約すると
- 「紅麹色素」は使っているが、小林製薬の「紅麹」とは別
- 今のところ、猫へ与えても影響は少ない
- 返品・回収の対応はない
- ちゅ〜るを高温処理して作るので色がくすむことがあり、「紅麹色素」は色合いを良くするために使っている
といったものでした。
「いなば」から公式発表は出ているの?
紅麹の問題については、2024年3月26日付けで、いなばペットフードから発表されています。
公式によると(※注1)
「うちで使ってる紅麹色素は、小林製薬が供給してる関連原料と一切関係ないよ」
ということです。
とはいえ、心配なことはまだあります。
私も恥ずかしながら、「紅麹」や「紅麹色素」について詳しくは知りませんでした。
- 紅麹とは、そもそもどんなものか
- 紅麹が原因で自主回収されているおやつはあるのか
以下、調べてまとめてみました。
参考
注1)いなばペットフード株式会社,弊社「紅麹原料の使用状況」のご報告, https://www.inaba-petfood.co.jp/topics/detail/1114 ,(2024年3月26日閲覧)
そもそも、「紅麹」って何なの
紅麹はこうじの一種で、昔から中国や台湾、日本などで着色に利用されてきたものだそうです。(※注2)
蒸した米などの穀物に、カビの一種である紅麹菌を発酵させて作ります。
菌で発酵することにより、赤色になるのです。
1970年代には、紅麹菌からコレステロールを下げる作用がある「モナコリンK」という成分が発見されます。
着色だけでなく、健康食品の原料としても注目されるのですね。
紅麹の危険性
実は「シトリニン」というカビ毒を作ることもあり、腎臓の病気を引き起こす恐れがあります。(※注2)
小林製薬の紅麹サプリは、「シトリニン」を作らない紅麹菌を使っていたようです。
今回の健康被害では、未知の成分(プベルル酸)が原因ではないかとのことですが、詳細は不明です。(※注3)
参考
注2)日本経済新聞(電子版),紅麹、コレステロール低下で注目 小林製薬16年から事業, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF291240Z20C24A3000000/ ,(2024年3月29日閲覧)
注3)日本経済新聞(電子版),プベルル酸、「紅麹サプリ」から検出 抗菌作用も毒性強く, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC299EL0Z20C24A3000000/ ,(2024年3月29日閲覧)
「紅麹」と「紅麹色素」の違い
問題となっているサプリの紅麹は「原材料」として使われています。(※注4)
それとは別に、紅麹菌から作られる食品添加物に「ベニコウジ(紅麹)色素」があります。
それぞれの違いを分かりやすく言いかえると
といった感じでしょうか。
(※もし専門の方で、ご指摘がある場合はお問合せまでお知らせください…!)
紅麹と紅麹色素は、そもそも作り方が違うのですね。(※注4)
ここで「原材料」と「食品添加物」の違いについて、簡単に説明します。
原材料とは
「原材料」とは、食品を作るときに使う「もと」となる材料のことです。
たとえば、パンを作るときの”小麦粉や砂糖、卵、バター”などが「原材料」になります。
原材料の表示は「使った量の多い順」になります。
原材料名 | 米紅麹(米、米胚芽、紅麹菌)(国内製造)、 マルチトール、デキストリン/セルロース、ステアリン酸カルシウム、 CMC-Na、微粒酸化ケイ素、アラビアガム、カロテノイド |
紅麹コレステヘルプの原材料名を見てみると、一番はじめに米紅麹(米、米胚芽、紅麹菌)が書かれていますね。
使われている量が多いことが分かります。
食品添加物とは
「食品添加物」は、食品の保存性を高めたり、味や色を調整するために使われるものです。
たとえば、保存料や着色料、香料などですね。
食品によって使用量は違いますが、1g/kgや0.05g/kgといった、ごく少量使うことが多いです。
原材料名 | まぐろ、まぐろエキス、タンパク加水分解物、 糖類(オリゴ糖等)、植物性油脂、増粘安定剤(加工でん粉、増粘多糖類)、 ミネラル類(Na,P,Cl)、調味料(アミノ酸等)、ビタミンE、緑茶エキス、紅麹色素 |
CIAOちゅーるの原材料名を見てみると、紅麹色素は最後に書かれており、少量入っているんだなと分かります。
紅麹色素はちゅ〜るの他に、チョコレートやカップ麺など、身近な食品にも使用されています。
だから影響が大きくなっているんですね。
参考
注4)FOOCOM,ベニコウジ色素(食品添加物)と、小林製薬の紅麹原料(食品)は違うもの, https://foocom.net/secretariat/foodlabeling/24470/ ,(2024年4月1日閲覧)
小林製薬の紅麹が原因による、自主回収をしているメーカー
現在、メーカーが自主回収している猫・犬向けの商品は以下になります。
ドギーマンハヤシ株式会社
回収対象の製品
商品名:VP ごほうびセレクト 肉バル チキンミートボール 190g
JANコード:4976555826883
対象ロット:賞味期限表示が「2025.01.AI」「2025.02.CK」のもの
参考:(2024年3月28日付け)
なお、上記以外で小林製薬の紅麹原料を使用しているものはないそうです。(2024年3月29日付け)
株式会社ペッツルート
回収対象の製品
商品名:やさしいフード チキン&ビーフ 600g
JANコード:4984937686673
商品名:やさしいフード チキン&ビーフ 100g
JANコード:4984937686833
商品名:7歳からのやさしいフード チキン&ビーフ 600g
JANコード:4984937686819
商品名:7歳からのやさしいフード チキン&ビーフ 100g
JANコード:4984937686826
商品名:クロレラ野菜入り やさしいフード ライト 600g
JANコード:4984937687076
商品名:クロレラ野菜入り やさしいフード ライト 100g
JANコード:4984937687083
商品名:もっとやさしいフード 七面鳥&ポテト 400g
JANコード:4984937683788
商品名:もっとやさしいフード 七面鳥&ポテト 100g
JANコード:4984937684044
参考:(2024年3月28日付け)
おわりに
CIAOちゅ〜るは、今回の紅麹問題とは関係ないことが分かりました。
そもそも猫や犬の食品に「着色」は必要なのかと、改めて考えさせられます。
猫や犬たちにとって食品は、「新鮮さ」、「匂い」、「美味しさ」、「栄養バランス」が大事です。
見栄えの良さが「販売・購入する人間側の都合」なら、着色料は必要ないでしょう。
「加工による自然な色」と、パッケージに説明を載せれば済むことでは?と思ってしまいます。
人間の食品でも同様かもしれません。
紅麹での健康被害の原因は何だったのか、早く明らかになることを願います。